株式会社 カミノバ
取締役 開発部長 片岡 淳さん
個人事業主や起業などを経て、現在は株式会社カミノバにてkintoneを中心としたシステム構築支援を行う片岡 淳さん。2014年から、kintone エバンジェリストとしての活動をスタートさせました。コミュニティ活動も積極的に行っており、kintone Café 高知やJAWS-UG 高知(AWSのユーザーコミュニティ)などの開催に携わっています。今回はそんな淳さんの、kintoneとの出会いやkintoneを通して地元高知に向けた想いを伺いました。
いま人と人の繋がりを大切にするのは、個人事業主時代の苦労があったから
高知県で生まれ育ち大学進学を機に上京。航空宇宙を専攻し、もともとは天文系の研究職を目指していたという淳さん。まずは、この進路からソフトウェアの道へ進んだきっかけについて伺いました。
「もともと希望していた進路は就職先が限られていて、それであればソフトウェアの角度で天文系の仕事に関われないかと思ったんです。そこで、少しでもシステム開発に関わっていれば道はあるかもと思い、東京のIT中小企業に就職しました。最初はC言語から入って、ここから徐々に業務システムの開発なんかに携わり始めました」
就職から3年後である26歳の頃、結婚を機に高知へUターンし転職した淳さん。そこで、官公庁むけのシステム開発に携わった後、受託開発を行う個人事業主として独立することを決めます。
「当時の2001年頃は、Javaという言語が黎明期でそこに目をつけて独立しました。需要もかなりあったので、高知に居ながらも東京の企業から依頼をたくさんいただけました。しかし独立して3年ほどたったとき、メインの取引先からの依頼がなくなったことで仕事の8割を失った時期があったんです。この時はすごく苦労して、そこから高知県内の色々な団体や会合なんかに顔を出して県内での人脈を広げるようになりました。今の自分が、コミュニティ活動を通じて出会った人との繋がりを人一倍大切にしている根底には、当時の経験があるような気がします」
kintoneの第一印象では、そこまでの可能性は感じていなかった
その後起業しECサイトの構築などWeb系の仕事を続けていたところ、同じく高知を拠点とする企業から声がかかり事業統合。そこでkintoneとの出会いが訪れたそうです。
「kintoneと出会ったのは、2012年の頃でした。事業統合先だった企業の社長から『kintone おもしろそうだから、ちょっと触ってみてくれない?』と言われたのが最初の出会いでした。第一印象では、簡単なものは作れそうだけど複雑で重い業務には耐えられないんじゃないかな?と内心思っていましたね」
当初はあまり可能性を感じていなかったという淳さんですが、その後社長からの要望もありまずは社内の業務システムとしてkintoneを導入。その後、業種に特化したアプリの提案や、今でこそkintoneでは常識となった対面開発にも乗り出します。しかしそのままでは提案出来ないと感じていた淳さんは、独自に見た目などをカスタマイズし販売の道を模索したそうです。
「最初はとてもじゃないけど使えないと思っていましたが、サイボウズの方と連絡をとって色々伺っていたら、JavaScriptでカスタマイズができることを知ったんです。当時公開されていた情報は今に比べたらすごく少なくて、できることも少ない中無理やり見た目を良くしてお客様に提供するようなことを地道にやっていました。その結果、高知県内で何社かkintoneを導入していただくことができたんです」
成長する過程を見守ってきた、だからこそkintoneが好き
最初はkintoneに関してあまり可能性を感じていなかったにも関わらず、現在はkintoneが大好きと語る淳さん。心境が変化した理由については次のように語ります。 「本当に最初は、手のかかるめんどうくさいツールだなあ、なんて思っていたんです。(笑)でも今はkintone が大好きです。kintoneへの印象がここまで大きく変わったのは、これまで大きなバージョンアップのタイミングに、ユーザーとして立ち会ってきたというのがあると思います」
提供されるAPIが増えるにつれて外部連携もしやすくなり、標準機能でできることも増え、デザインも洗練されていく過程を見守ってきた淳さん。特に感動したアップデートは2019年に実施されたモバイル版のアップデートで、デザインも使い勝手もぐっと向上したと感じたそうです。しかしこのような大幅なデザイン変更の際には、すこし寂しささえも感じることがあるそう。
「たまにデザインがガラッと変わると便利になるのが嬉しい反面、それまでのちょっと不器用でも愛着のあるデザインが見られなくなることに寂しささえ感じることもあります。(笑)気持ちとしては手のかかる子だったkintoneが、育っていく成長を見ているような感じ。だからなおさら製品に対する愛情のようなものを感じてしまいますね」
地元の魅力を伝える、それがkintone Caféを開催する理由
さて、ここからはkintone Café高知の運営に携わることになったきっかけについてお話を伺いました。kintone のリリースから1年ほどたった頃、高知県内かつ淳さんの所属する企業経由でkintone が受注されていく様子に注目したサイボウズ社員。すぐさま高知を訪れ、淳さんへkintone Café 開催の打診をしたそうです。
「2013年の頃、サイボウズの方が高知に来てくれて『kintone Caféというコミュニティをやってみないか』という話を貰ったんです。当時は、まだ第一回の札幌を斎藤さん(*1)が立ち上げて開催したばかりの頃でした。自分にとっても県内でkintone の知名度を上げる良い機会だと思ったことと、純粋におもしろそうだと心惹かれ、kintone Café 高知の開催を決めました」
2020年12月時点で、13回の開催をしてきた淳さん。開催にあたって二つの想いを大切にしていると語ります。一つ目は、高知でkintoneを広めたいというもの。高知の皆さんにkintoneの可能性をもっと知ってもらいたい、そして知識を深めてもらいたいという想いで開催しているそうです。そしてもう一つが、地元高知に向けた想いだと語ります。
「県内の方だけでなく県外からもkintone Caféをきっかけに高知へお越しいただき、この土地の魅力をもっと知って貰いたいという想いがあります。kintone Café 高知は、春と秋の年2回の定期開催なんです。これにも理由があって、地元の名産である初鰹と戻り鰹の時期、両方来てそれぞれの季節の魅力を知っていただきたいなんて願いも込めています。高知にお越しになったことがない方がいれば、ぜひkintone Café 高知への参加を一つのきっかけとして貰えればうれしいです」
kintoneの楽しさをどんどんユーザーに伝えていきたい
最後に、kintone エバンジェリストとしての今後の展望についてお話を伺いました。
「自分は、“kintone は楽しくあるべきもの”だと思っています。システムを作る際に、それが“良いシステム“であることはもちろんですが、ユーザー一人ひとりが楽しめるシステムにしていきたいという想いがあります。また更に言えば、kintone は会社で使うだけじゃなく、いろんな立場の人が楽しく使えるものだということを伝えたいです。例えば教育。子どもがプログラミングやデータベースの基礎を学ぶことができ、自らモノを作り上げる楽しさを知ってもらえるツールだと思っています。今後はこうした”kintone の楽しさ“を、kintone Caféに限らずいろんな手段で伝道していきたいです!」
淳さん、ありがとうございました!