アルプ株式会社
村濱 一樹さん
もともと個人事業主として kintone を用いたシステム開発を多く手掛けてきた経験を持つ村濱さん。2014年から kintone エバンジェリスト としての活動を開始し、幅広いジャンルで活躍してきました。また、地元沖縄を拠点とし場所に縛られない働き方を実現しています。今回はそんな村濱さんに、kintone との出会い、そして現在のキャリア・そして今後の kintone に向けた想いについて伺いました。
kintone との出会いを契機に、サーバーサイドからフロントエンドの世界へ
まずは、村濱さんと kintone の出会い、そして個人事業主として活動されるまでのお話について伺いました。もともと個人事業主となる前は、沖縄を拠点にシステム構築支援等を行うソフトウェア会社でサーバーサイドエンジニアとしてキャリアを積まれていた村濱さん。そんな中 kintone との出会いが訪れます。
「2013年頃、前職のとある案件に関わる中で kintone に出会いました。私自身はずっとサーバーサイドに関わっており、自分の中のフロントエンドの情報は2010年ぐらいで止まっていたので、 kintone を知って『フロントエンドもどんどん進化しているなあ』と思ったのが最初の印象でしたね。JavaScriptでカスタマイズできるということで、確かにいろいろできそうだと思いました。
ただ、当時は今よりも kintone の機能がすぐれていなかったので、不満に思うポイントも多くて(笑)いろいろと Cybozu にフィードバックをすることも結構ありました。徐々にそういった点が改善されていくのは嬉しかったですね。年々不満は減っています。
そして、 kintone でJavaScriptカスタマイズを経験したことをきっかけに、徐々にフロントエンドの道へ進むようになりました」
独立のきっかけは、kintone の存在によって一人でもできることが増えたから
kintone との出会いによって、エンジニアとしてのキャリアだけでなく、自身の働き方にも大きな影響があったと語る村濱さん。独立という選択をした理由についても伺いました。
「kintone と関わったことでエンジニアとしてのキャリアだけでなく、働き方への考え方にも大きな変化がありました。独立という選択をしたのもその一つです。
会社から独立したのが2015年くらいだったのですが、当時は kintone やAWSなどのサービスのおかげで、県外のお客様とも仕事ができる環境が整っていたんです。これもあって、沖縄の地から一人で、そしてリモートで働くという選択が実現できました」
「独立にあたって、すべてを自分でやらなくて良いと思えたのは大きかったですね。普通だったらサーバーを自分で立ててメンテナンスや障害対応までしなければなりませんが、その部分は kintone に託して自分は開発することに集中することができたんです。おかげで、1人でもできることがすごく増えました。kintone との出会いで、ここ5~6年の人生は大きく変わりましたね」
エバンジェリストとしての活動も、リアルからオンラインでの伝道活動へ徐々にシフト
その後、2014年から kintone エバンジェリスト としての活動をスタートさせた村濱さん。以前は、kintone Café 沖縄 の開催や kintone Café Japan の運営などのリアルコミュニティ活動に積極的に携わっていました。近年は、そんなエバンジェリストとしての活動の方法にも変化があったそうです。
「最近はコードを書くことにもっと注力したいと思っているので、以前のようなリアルな場づくりや登壇よりもQiitaやGithubなどが主な情報発信源になってきました。また、cybozu developer networkでのコミュニティ回答もしています。回答した方から『助かりました』などのお声をいただくと、とてもうれしくやりがいを感じますね。
こうしたオンラインコミュニティを見ていると、困っている人が本当にたくさんいることを実感します。私だけの力で全てはサポートしきれませんが、今後もできる範囲で気づいたことを返していきたいと思っています」
kintone でSaaSの素晴らしさを体験し、現在はサブスクの決済基盤となるツールを提供
さてここからは、現在メインで関わっているお仕事の内容についてお話を伺いました。フリーランスの期間を経て、アルプ株式会社に所属する村濱さん。提供する「Scalebase」は、サブスクリプションビジネスにおける決済基盤を支えるサービスだそうです。
「サブスクリプションのビジネスにおいて売上向上などの施策のために、例えば3ヶ月の無料プランをすぐに作りたいと思ったとき、それを実現するは簡単ではありません。そんなとき、『Scalebase』を一つ間に入れることで、様々なプランを簡単に用意できるようになるというサービスです。同じようなビジネスモデルでわかりやすい有名所でいうと『Zuora』が挙げられますが、価格も高いです。
SaaSのビジネスの場合、毎月発生する請求管理が大きな負担になっています。とはいっても『Zuora』を導入するほどコストをかけられない…そんな悩みを抱えている方に、リーズナブルな価格で、日本の商習慣にフィットしたサービスが提供できればと考えています。
kintoneをはじめとして、たくさんのSaaSビジネスが増えているので、そんなSaaSビジネスの手助けができればと思っています」
現在お仕事としては「Scalebase」に関わる割合がほとんどということですが、kintoneとの関わりもしっかり続いているそうです。
「こう話すとエバンジェリストなのにビジネスは kintone じゃないの?と、kintone との関わりがあまり無いと思われてしまうかもしれないんですが…(笑)これまで自分が関わってきたお客様の kintone 環境の保守はもちろん、Cloud Universityでの kintone 開発者向けの研修講師も継続しています。本業としては kintone から離れていますが、日々コミュニティでの回答も続けていますし、結局は毎日 kintone に触れる生活をしています。
また、『Scalebase』では現在Salesforceとシームレスに連携可能なサービスを提供しているのですが、自社が出すサービスの契約管理を kintone で行っている方も多いと思うんです。私自身、kintone でSaaSの可能性と素晴らしさを改めて認識したので、後々は『Scalebase』でも kintone に向けたサービスを提供していけたらと思っています」
kintone の魅力を伝道し続けるのは、kintone の“外に開けた世界観”に共感するから
現在のお仕事では、Salesforceを活用されるお客様と関わる機会が増えている村濱さん。仕事上では kintone との距離ができた中でも、kintone の魅力を伝道し続けるその理由についても伺いました。 「Salesforceは垂直統合型のシステム、つまりすべてをSalesforceの中で完結できるツールだと思っています。これは逆に言うと、Salesforceの外には出にくく、知見も得づらい世界です。一方の kintone はWebデータベースの箱だけを提供しているので、すごく外に開けているサービスですよね。なので kintone のことを学ぶと、それに付随するその別のツール(例えばAWS)についても、多くのことを学ぶことができます。こうした知識は、kintone に限らず他のシーンでも活かすことができるものです。
一つの世界の中で生きていくのでも構わないのであれば、Salesforceで良いと思います。私の場合はベンダーに縛られたくないという想いが強かったので、そういう意味で kintone の開けた世界観にすごく魅力を感じています。ただ kintone はオールインワンじゃないので、やりたい分だけ手を動かさなくてはならないという現状もありますが…(笑)私自身 kintone に出会って人生が大きく変わったので、すこしでもなにか返せればという気持ちで、今後も kintone の魅力を伝道していきたいです」
最後に、今後の kintone に期待したいことについてお話を伺いました。
「kintone に、SalesforceやMicrosoftなどと肩を並べる製品の一つまで登りつめてほしいと思っています。近年着実に kintone の認知は上がっているけれど、まだまだ足りてないのが現状ではないでしょうか。これは、仕事で一度 kintone から離れたからこそ実感できたことで、やっぱり巷で一番に名前が挙がるのは kintone 以外の製品です。kintone のエコシステムはすごく良い形で回り始めていると思うので、少しずつその当たり前を塗り替えてほしいです!また、自身の関わる『Scalebase』と kintone は非常に親和性が高いと思っているので、個人的な願望としてここもうまく絡めていければなと思っています!」
村濱さん、ありがとうございました!