社会医療法人健生会
中尾 典隆さん
奈良県にある社会医療法人健生会で、情報システム管理課として働く中尾 典隆さん。2019年6月に kintone を導入し、2021年8月からはサイボウズ公認の kintone エバンジェリストとして活動をしています。 kintone hive Osaka vol.8に登壇、さらには kintone Café 奈良支部も立ち上げました。非開発職として働く中尾さんだからこそ持つ熱い想いや、エバンジェリストとしての今後の展望について教えていただきました!
「患者と職員両方を幸せにすること」をミッションとして、kintoneの導入を決定
まずは kintone 導入の背景についてお話を伺いました。
中尾さんが勤務する社会医療法人では、もともとオンプレミス版のグループウェアを利用していました。しかし、グループウェア更新のタイミングでもっと気軽に使える新たなものを導入しようと、安くて使いやすいクラウド版 サイボウズ Officeの導入を検討し始めたのです。
「サイボウズ Office を導入するにあたって、製品に関する理解を深めるために様々なセミナーに参加しました。そこで、もともと軽く興味があった kintone の話も聞いてみることにしたのです。当時は金銭的な面から kintone の導入は検討していませんでしたが、それでもセミナーを通して、一から自分達で作っていける部分に魅力を感じました。」
kintone に魅力を感じながらも、サイボウズ Officeの導入を考えていた中尾さん。
そんなタイミングで、ある日上司からミッションを与えられたのです。
「システムを通して、患者と職員の両方を幸せにすること。」
そう言われた中尾さんは、改めて現場のニーズとグループウェアの機能とを照らし合わせて考えてみました。
「kintone は自分たちで一からつくることができるため、開発からリリースまでの時間が短く済みます。現場で働く社員がシステムのリリースまで待たされているという感覚はなく、かつ自分たちでつくっていくからこその納得感があります。
また、kintone がコミュニケーションツールの役割を果たすだけでなく、データの蓄積や分析ができるところにも魅力を感じました。
さらに、kintone はもともと病院で使用している電子カルテと操作感が似ており、現場の職員にも受け入れてもらいやすいと思いました。職員がパソコンと向き合う時間が減ることで、結果的に患者さんと向き合う時間が増えます。kintone であれば、“患者と職員の両方を幸せに”というミッションが実現できる、そう確信しました。」
こうして中尾さんは kintone の導入を決意したのです。
コミュニティでの発信、そしてエバンジェリストへの挑戦
「人見知りなこともあり 、kintone を導入してすぐには自らコミュニティに触れることはありませんでした。」
そう語る中尾さんですが、ある出来事をきっかけに、kintone コミュニティに足を踏み入れるようになったそうです。
「一番のきっかけは、kintone コミュニティにいるユーザーの方々のおかげです。kintone がいまいちわからない、情報が欲しい、と思ったときに、初めてCybozu Days大阪に参加しました。そこには自分と同じ医療関係で kintone を使用している瀧村さん・峠さんが登壇しており、せっかくの機会なので思い切って声をかけました。するとそこで、“まずは見るだけでも良いからTwitterを始めてみると良いよ”というアドバイスをいただきました。この言葉をきっかけに、kintone コミュニティを知るようになったのです。」
まずはTwitterでのつぶやきから始めた中尾さん。小さな声や悩みをつぶやくことで、周りにいる kintone ユーザーさんが何度も手を差し伸べてくれたそうです。
そしてここから、中尾さんのさらなる挑戦が始まります。
kintone コミュニティにいるユーザーさんに背中を押してもらい、kintone Café や kintone hive での登壇に挑戦しました。それ以外にもTwitterやYouTube、キンコミなど、様々なコミュニティに参加し、情報発信を続けています。
「コミュニティには寄り添いながら優しく背中を押してくれる人がたくさんいます。だからこそ、挑戦して発信することがこんなにも楽しいことなのだと思えるようになりました。」
挑戦の連続であった中尾さん。続けて kintone コミュニティの魅力をこう語ります。
「コミュニティには、様々な立場の多種多様な人がいます。そんな人たちが、上下関係なく、分け隔てなく、垣根なく交流しているのです。コミュニティには非常にあたたかい空気感があり、それが楽しくて、面白くて、居心地が良いんですよね。」
kintone に対して熱い想いを抱く中尾さんは、kintone エバンジェリストにも立候補しました。kintone の機能的価値だけでなく、あたたかいコミュニティの存在など含めた kintone 全体の魅力を広めていきたいという想いが根底にあるそうです。
「kintone の活用に悩んでいる人に向けて、活用する上での選択肢の一つを提示できるようなコミュニケーションをとっていきたいです。これまではコミュニティの皆さんからたくさんの恩をもらってきたからこそ、これからは新しくコミュニティに入ってくる人に向けて、自分が恩を送る側になりたいと思います。」
kintone コミュニティに全く触れたことのない状態から、わずか2年間でエバンジェリストにまで挑戦された中尾さん。一からのスタートでエバンジェリストになることで、kintone を活用している人に勇気を与えられる存在になりたいと考えているそうです。
何よりもご自身が楽しみながら、kintone を活用しているユーザーさんとのコミュニケーションを大切にしている姿が非常に魅力的ですね。
情報は力。チームワークを生み出すきっかけに。
最後に、中尾さんご自身が感じられているグループウェアの可能性についてお話を伺いました。
中尾さんがお仕事をされている社会医療法人健生会では kintone を活用されていますが、まだまだ医療介護業界ではクラウドの浸透しにくさという課題があるそうです。 また、医療介護業界だけにとどまらず、労働組合へのグループウェア導入の可能性にも着目しています。
「医療介護業界では高度な個人情報を扱っているため、使用している電子カルテが基本的にオンプレミスで、かつクローズドネットワークで組まれていることが多くあります。そのため、クラウドで情報を管理する業務システムを使うのに物理的な壁があります。また、労働組合にはデジタルに強い人が少なく、アナログ作業から脱却できていないのが現状であるため、そもそもデジタル化を進めていくことが必要です。
このように、グループウェアを導入しにくい状況ではありますが、サイボウズのアカデミック/ガバメントライセンス(※1)やチーム応援ライセンス(※2)を活用して、医療介護業界や労働組合での普及にも尽力していきたいと考えています。」
※1 アカデミック/ガバメントライセンス:学校法人での校務利用や、官公庁などの公共団体での業務利用のための、kintone および Garoon が特別価格で利用できる制度
※2 チーム応援ライセンス:NPO法人や任意団体など、サイボウズ製品の利用が財政的に難しい団体に向けて、クラウドサービスcybozu.comが特別価格で利用できる制度
企業だけではなく、学校法人や公共団体の業務利用にもグループウェアが浸透するようになることについて、中尾さんは次のように語ります。
「情報は力であり、それがチームとしての団結に繋がると考えています。kintone には根拠となるデータや数字をためていくことが可能であり、その情報こそがチームワークへと繋がるきっかけなのです。以前はグループウェアに対して消極的であったPTAでも、現在は kintone の導入が活発になりつつあります。この出来事を、医療介護業界や労働組合関連でも発信の突破口にしていきたいと考えています。」
インタビューを通して、中尾さんだからこその熱い想いと広い視野をお伺いすることができました。kintone エバンジェリストとして kintone コミュニティを支えていく力、そして公共団体への普及のためにも尽力しようと考えている中尾さん。今後の益々のご活躍が楽しみですね!
中尾さん、ありがとうございました!